2024年12月21日

新型コロナウィルスの症状と治療

新型コロナの症状・・特にオミクロン
当初は、発熱や味覚障害、嗅覚障害、急激な呼吸困難などが特徴であったのは有名。
オミクロン株になり、味覚障害や嗅覚障害の頻度は少なくなったようだ。

特にワクチン接種者では重症化率も低下し、
軽い咽頭痛や鼻汁、咳、痰などや無症状のことも多いのはよく体験します。
「発熱や味覚障害、嗅覚障害がないからコロナではない」とは考えてはいけないようです。


治療においては、
①COVID-19としての病態や重症度の評価と、
②基礎疾患や合併症の病態や重症度の評価の両者が重要という。

特にオミクロン株が主流になってからは、
デルタ株以前のような新型コロナウイルス感染症そのもので重症化する症例は著減している。
その代わりに特に高齢者において二次性の誤嚥性肺炎と考えられる症例がしばしば見られる。



重症化リスクがない場合
○ 重症化リスク因子のない軽症~中等症Ⅰ例(SpO2 96%以上、肺炎像なし)では
原則として抗ウイルス薬は不要で対症療法を行うのが基本である。
ただし、例外も存在するようで
それが、ゾコーバとも言われている。
 ガイドラインにも
○ゾコーバはこのような患者に対して
5症状(①倦怠感・疲労感、②体熱感・発熱、③鼻汁・鼻閉、④咽頭痛、⑤咳)を改善をするが
このためには発症後72時間以内に投与する必要がある。
処方する際には、薬価や薬物相互作用、妊娠の有無などを勘案して投与の有無を判断するべき。


重症化リスクがある場合
○重症化リスク因子のある中等症Ⅰまでの重症度の患者に対しては、
①パキロビッド、②ベクルリー(3日間投与)、③ラゲブリオによって重症化を抑制することができると言われる。
いずれも発症から目安として5日目以内に投与。


○経口抗ウイルス薬の有効性を示した多くの研究は、
デルタ株などのオミクロン株以前の株による非ワクチン接種患者の重症化予防効果を示している。

オミクロン株以降でワクチン接種者に対してどのくらいの有効性があるのかは、現在研究が進められているところである。


ゾコーバの添付文書の中にはこのように記載されている。
投与時の注意
○ 12歳以上の小児および成人に投与する。
○ 症状発現から3日目(72時間)以内に投与した場合に
5症状(①倦怠感・疲労感、②体熱感・発熱、③鼻汁・鼻閉、④咽頭痛、⑤咳)の改善を促進した
たことから、これらの効果を目的に症状発現から72時間以内に投与する事となる。
○重症化リスク因子のある軽症例に対して重症化抑制効果を裏付けるデータは得られていない。
この事から、本効果を目的とする場合はパキロビッドパック、ラゲブリオ、ベクルリーの投与を優先させるべき。
○重症度の高い患者に対する有効性は確立していない。
○妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び最終投与後2週間は適切な避妊を行うよう指導すること。

つまり、重症化しない開業医の選択肢は
ほぼ、ゾコーバのみとなるが、
指導は大変なところはあるだろう。



posted by 院長 at 17:08 | TrackBack(0) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

インフルエンザの症状

 
最近の外来で
発熱対応してますと、
コロナやインフルエンザの
患者さんがいらっしゃいます。

そこで
インフルエンザの症状と言えば
どんな物が思い浮かぶでしょうか?
「高熱」が代表的と思います。

ところが最近、
まったくの無熱で
「なんとなくおかしい」
という方がいらっしゃいます。

その様な方に
インフルエンザの抗原検査をしますと
なんと、陽性が出ることが多いのです。


これが
一例や二例であれば
わからなくもないです。

ところが、
こんな症例が数例立て続けに
現れますと、
発熱だけで
インフルエンザの抗原検査の
適応かどうか判断するのは怖いですね。


しかし、医療資源も
潤沢にあるわけではありません。
当然、「発熱がないから検査はしない」という
ドクターも出てまいります。


そうすると、
治療開始時期を誤ってしまう
と言うことが出てきます。

本当にそれで良いのでしょうか  









posted by 院長 at 13:44| 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月19日

かぜが、5類感染症に

ここでいうかぜとは、
ARIを示します。

厚生労働省は、2025年4月7日より
かぜを5類感染症に引き上げる事を発表。

発表では、
急性呼吸器感染症 (ARI) は、
急性の上気道炎 (鼻炎、 副鼻腔炎、 中耳炎、 咽頭炎、 喉頭炎)
または下気道炎 (気管支炎、 細気管支炎、 肺炎) を指す病原体による症候群の総称。

代表的な疾患には、
インフルエンザ、
新型コロナウイルス感染症、
RSウイルス感染症、
咽頭結膜熱、
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、
ヘルパンギーナなどがあり
現在も報告が行われており,
患者さんに関係のあるところではありません。


厚生労働省は
今回の感染法上の取り扱い変更を受けて
Q &Aを出しました。
そこには、
このように記載されています。




Q6 急性呼吸器感染症が5類感染症に位置付けられ、
またサーベイランスの対象となることで、患者にはどのような影響があるのでしょうか。
風邪のために病院に行く際の負担などが変わるのでしょうか。
A6 急性呼吸器感染症(ARI)を5類感染症に位置付けることによる、
患者の皆様への影響はありません。
診療上の扱いも何も変わりません。
5類への位置付けは、感染症の発生動向を把握できる体制を整え、
国民や医療関係者の皆様へ情報提供するためのものです。


Q7 急性呼吸器感染症が5類感染症に位置付けられることで、
風邪も就業制限や登校制限の対象となるのでしょうか。
A7 急性呼吸器感染症(ARI)が5類感染症に位置付けられることで、
就業制限や登校制限の対象とはなりません。
インフルエンザ等の個別の感染症について定められている運用についても変更はありません。


Q8 急性呼吸器感染症が5類感染症に位置付けられることで、特別な感染症対策は必要がありますか?
A8 基本的な感染症対策として、換気や手洗い・手指(しゅし)消毒(しょうどく)、
マスクの着用を含めた咳エチケット などの実施について、国民に対し周知してきたところです。
急性呼吸器感染症(ARI)が5類感染症に位置付けられることで、
これら基本的な感染症対策の扱いを変更するものではありません。








posted by 院長 at 22:09| Comment(0) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする